はじめに
こんにちは、Akechiです。
私たちが普段利用しているスマホアプリやWebサイトについて、「使いやすい」だったり逆に「使いにくい」と感じることはありませんか? 例えば、ボタンがどこにあるか分からないとか、タップしても反応が悪いとか、妙にメニューの操作が複雑だとか……。「なんか使いづらい!」とイラッとする瞬間があるかもしれません。
この「使いやすさ」や「分かりやすさ」に大きく関係しているのがUI(User Interface)とUX(User Experience)です。でも「UIとUXってどう違うの?」と聞かれると、意外と違いが分からず、曖昧に答えてしまう人も多いかもしれません。そこで今回は、UIとUXの違いや、覚えるためにデザインの勉強が必要なのかどうか、さらに関連する資格についてもご紹介します。

・webデザインについて知りたい、調べたい人
・業務改善に興味がある人
1. UIとUXとは何か
1-1. UI(User Interface)とは
UIとは「ユーザーインターフェイス」の略で、ユーザーが製品やサービスを操作する際に直接触れたり目にしたりする部分を指します。具体的にはアプリの画面レイアウト、ボタン配置、文字サイズや色合いなど、モノやサービスと人間との“接点”になる存在のことです。
- 例:スマホアプリの「ボタンの位置」や「アイコンのデザイン」
- 例:Webサイトの「メニューバー」「バナー画像の配置」「フォームの入力欄」
- 例:webサイトの「文字の大きさ」や「字体」
あまり意識しなくても、私たちはUIの良し悪しに敏感です。ボタンが押しやすいか、直感的に操作ができるか、色や形が分かりやすいか…など。もし、ボタンがとんでもなく小さい位置にあったら「タップができない!?」と困惑してしまいますよね。こういうイライラポイントがあることはすなわち「UIが悪い」状態と言えます。
1-2. UX(User Experience)とは
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、ユーザーが製品やサービスを通じて得る“体験”全体を指す言葉です。UIも含めたすべての接点を通じて得られる感情や満足度、体験そのものがUXの範囲になります。いわば、「結果」です。
- 例:アプリを使って「スムーズに予約ができた」「サポートが親切で不安が解消された」「アプリを通じて、新しい情報を得ることができた」
- 例:Webサイトで商品購入して「商品の到着までのメール連絡が丁寧だった」「届いた商品におまけがついていたので嬉しかった」
- 例:webサイト自体がきれいで、見ているだけ・操作しているだけなのになんだか心地が良かった
UXはもっと幅広い概念なので、デザインだけでなく運営やサービス全体の仕組みまでも関わってきます。いくらUIが美しくても、サポートが適当だったり、操作後の結果が思わしくなかったりすると「なんか微妙だな…」という経験になってしまいます。つまりUXを高めようと思ったら、「企業やサービス全体を、ユーザー目線で設計する」という大きな視点が重要なのです。
UXのスキルについて、さらっとご紹介されているお勧めの動画です。
2. UIとUXの違いをひと言でいうと?
UIとUXの違いは、以下のようにまとめられます。
- UI:ユーザーが直接目にしたり触れたりする「見た目」や「操作部分」
- UX:ユーザーがサービスを利用して得る「体験」や「満足度」、全体の経験
端的に言えば、UIはデザインの要素に注目しがちですが、UXはデザインだけでなく、ユーザーが最終的にどんな気持ちになるか、どんな価値を得られるかを重視します。UXのほうが包括的な概念なので、UIはそれに内包される概念だとも言えます。
3. デザインの勉強は必要?
3-1. 「見た目には興味ありません」という方へ
「自分はデザイナーじゃないし、デザインのセンスはイマイチなんだけど……」という方も多いでしょう。色彩やレイアウト、イラストのスキルをバリバリ磨く必要がない状況にある人の方が多いかもしれませんね。
ただし、最低限のデザイン知識を持っておくと、UI・UXに関する仕事をするときに非常に役立ちます。 なぜなら、UIはデザインが大きく影響する領域だからです。ボタンの配置ひとつ変えるだけで、ユーザーが「使いやすい!」と感じたり、「なんか分かりにくい…」と離脱したりしてしまうことは往々にしてあります。私たちの脳は、ぱっと見の印象でものごとを判断してしまいますからね。
色はどのような色を選択すると、人の感情にどのような影響を与えていくのか。メニューバーの配置はどこにすると見てもらえるのか。そういった行動心理学的な部分も踏まえ、デザインを学ぶことは必ず有益でしょう。
3-2. ユーザー目線に必要な視野
デザインと言っても、必ずしもアーティスティックなセンスだけが重要というわけではありません。むしろユーザーが求めている情報を、適切な位置に、分かりやすく配置するという論理的な考え方が求められるのです。
例えば「赤と青のボタン、どっちが押されやすい?」などの比較を行い、ABテストで確かめるのも立派なデザインのアプローチと言えます。目立たせたいボタンを赤にするのか、それとも緑にするのか。その判断にはユーザビリティや心理学が絡んできます。アンケートや調査の結果を重視し、より多数のユーザーに愛される存在を創り上げていきましょう。
3-3. 「使いやすさ」を勉強するメリット
デザインの基礎を学ぶと、色彩、タイポグラフィ、レイアウト、情報設計など幅広い知識が身につきます。それらはユーザー目線でサービスを設計するときに役立ち、いざサイトやアプリをリニューアルするときにも、「このようにしたら使いやすくなるんじゃない?」という提案ができるようになります。それが結果的に、プロジェクトの質を高める力になるのです。
4. UI・UXにおける様々な視点
UI・UXを考えるとき、与えられている役割や立場で視点が変わります。
4-1. ビジネス視点
企業側から見ると、UIが良くなるとユーザーの離脱が減り、UXが高まるとリピーターやファンが増えます。結果的に利益アップに貢献するため、「UI・UXの改善=コストではなく投資」と考える企業が増えています。 いくら画期的で付加価値の高いサービスでも、UIが複雑すぎて、ユーザーが使いこなせず離脱してしまったら元も子もありませんからね。
4-2. エンジニア視点
エンジニアからすると、UI・UX改善の仕事が発生した際に「むむっ、追加実装が増える…また残業か…」と思うことになってしまうかもしれません。ですがユーザーが使いやすくなるサービスを作るためのコーディングは、結果的にバグやトラブルを減らしたりなど、サポート対応の手間も下げることにつながります。エンジニアがUI・UXに興味を持つことで、ユーザーが本当に使いやすい機能を開発できる可能性が高くなります。
今やコーディングはAIも出来てしまう時代です。今後は、UI・UXの改善ができるエンジニアが重宝されていくでしょう。
4-3. デザイナー視点
デザイナーは「見た目」だけでなく、情報設計やユーザー導線も考えます。ブランドイメージを損なわない配色やフォント選びはもちろん、どの画面を経由すれば、最短で目的を達成できるかといったユーザー操作のフロー設計も重要な仕事です。視覚的な美しさと使いやすさを両立させるのはなかなか難しい部分ですが、ここの上達こそがユーザーの満足度に直結するので、デザイナーとしては押さえておくべき視点でしょう。
4-4. プロジェクトマネージャー視点
プロジェクトマネージャー(PM)は、各プロジェクトのスケジュールや予算を管理する立場です。「UI・UXに手を加える」ということは、デザイナーやエンジニア、マーケターなど各チームの調整をすることになるでしょう。 PMとしては、ユーザーの満足度とプロジェクトの制約条件を天秤にかけつつ、最適解を導く舵取りが求められます。UI・UXをどの程度までこだわるか、時には大胆な決断を迫られる場面もあるでしょう。
5. UI・UX関連の資格について
では、「UI・UXについて体系的に勉強してみたい」「スキルを客観的に証明したい」という場合に役立ちそうな資格や検定には、どのようなものがあるのでしょうか? いくつかピックアップしてみます。
5-1. HCD-Net認定 人間中心設計専門家
日本でUI・UXを本格的に勉強するなら、HCD-Net(Human Centered Design Network)に触れるのが良いかもしれません。こちらでは商品やシステム開発における「人間中心設計」に関わる教育や資格認定を行っており、実務経験を積んだうえで認定試験に合格すれば「人間中心設計専門家」として登録できます。 ユーザー目線でデザインを考える理論やプロセスを深く学べるため、UXデザイナーやリサーチャーを目指す方には注目の資格です。
5-2. UX検定
こちらもHCD-Netが実施している検定で、UXデザインの基本的な知識を測定するものです。UI・UXに関する概念、マーケティングやリサーチ、ユーザビリティ評価など、幅広い領域が問われます。公式サイトには勉強用の参考書や学習教材もあるので、初学者でも計画的に対策をしやすいです。検定に合格すれば、もちろん履歴書に記載が可能です。
5-3. Webデザイン技能検定
UIデザインに直接関係する資格として「Webデザイン技能検定」があります。Web制作における基本的なデザインスキルからJavaScriptの知識、html・cssコーディングの基礎などを学ぶことができ、1~3級の区分があります。「UIを分かりやすく実装するためにどんなコーディングが必要なの?」といった疑問を解消してくれるでしょう。また、サーバーやSEOなど、webデザインにまつわる周辺知識を固めることもできるので、まずは3級にチャレンジするのがお勧めです。
5-4. Google UX Design Professional Certificate(海外系)
日本語で学べる海外系のオンライン資格も注目が高まっています。代表的なのがGoogleが提供する「UX Design Professional Certificate」です。英語が苦手でも、映像講義と日本語字幕で学べるケースが多く、翻訳機能を駆使すれば違和感も減ります。グローバルなUXを学びたい方におすすめです。
こちらは半年間の長期で学ぶこともでき、じっくり自分のペースで学習が可能です。最初は座学から入り、だんだんとツールを使って作品を作成していきます。提出物は英語で作成するので、自然と英語力を鍛えることも可能です。
Nielsen Norman Groupなどが提供するUX Certificationも英語ですが、海外で評価の高い資格として知られています。
6. まとめ:UI・UXは “ユーザーの幸せ” をデザインすること
いかがでしたでしょうか?本記事の内容をまとめていくと、
- UIは「見た目」「操作性」、UXは「体験全体」という違いがある。
- UI・UXの知識はデザイナーだけでなく、ビジネスやエンジニア、マーケターなど幅広い職種でも役立つ。
- UI・UX関連の資格は、知識を体系的に学び、スキルを証明する上で有効。HCD-Netや海外系の認定資格などがある。
といったところになるでしょうか。
デザインは単に見栄えのためにやるものではなく、ユーザーの幸せ(快適さや満足度)をどれだけ想像し、実現できるかが肝要です。ボタンひとつ、配色ひとつでユーザーの気分は上下します。だからこそ、UI・UXの設計は丁寧に行い、一度創り上げても止まることなく、ユーザーの声を聞きながらブラッシュアップを続けることが大切です。
「デザインの勉強は苦手だけど、ユーザーに喜んでもらいたい」という気持ちがあるなら、UI・UXの視点を取り入れるだけで劇的にサービスの質は変わります。もし興味があれば、資格取得やオンライン講座などを試してみてください。もしかしたら次にリリースするアプリは、誰もが使いたくなる神アプリになるかもしれません。
UI・UXの世界は奥深いですが、まずは小さなところからでもチャレンジしてみましょう。勉強方法も人それぞれ。資格試験を受けて理論からガッツリ学ぶもよし、実際にアプリやサイトを作りながら体験的に覚えるもよし。ユーザーの気持ちを想像しながら、楽しく設計するのがいちばんの近道です!

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